なんだか不思議なご縁というか、不思議な出来事です。そんな不思議な、そして素敵なお話をBさんから頂きました。
あなたのことを彼は絶対理解していますから大丈夫です。
貴重なお話しありがとうございます。
——————————ここから
23歳の時に別れた彼が突然亡くなりました。亡くなるまで、誰も彼の心臓病に気付くことはなく、突然、彼はこの世から去ってしまいました。
あまり良い別れ方も出来ず、いつか分かり合えることもあるかと思っていた矢先の悲報に、自分が伝えられなかったことが余りにも多かったことが残念でなりませんでした。
イメージ
ある夏の日、私はお墓参りに行こうと、電車に乗ったのですが、どうやら電車を間違えてしまったようで、少し遠いところで下車し歩くことになりました。
セミが鳴く道々、お墓で何を言ったらいいのだろうと思いながら歩いていると、お花屋の店頭で若い男女がお花を売っていました。
小さな花束を買うと、お墓参りなのですねと、声をかけられました。
歩いて行く途中だと答えると、結構遠いですよ、言われました。でも、そのまま歩くことに。しばらく歩いていると、その花屋の男の子が軽トラで追いかけて来て、送ります。と、声をかけてくれたのです。
ボンヤリとしながら軽トラに乗せてもらい、お墓の前で何を言ったらいいんだろうと思っているうちに、軽トラはお墓につきました。
お礼を言うと、「ゆっくりしていいですよ。色々話もあるだろうし。」と言ってくれたのです。
結局、お墓参りの間、私は何も言わず、考えることも感じることもなく、軽トラに戻って行きました。やっぱり何も変わらない、と、思いながら。
すると、軽トラを運転しながらその男の子は、「お話出来ましたか？お亡くなりになった方の声を聞くのはお墓が一番ですよね。」と言ったのです。
セミが一段と大きく鳴いたような気がしました。
私は、声を聞こうともしなかった。それは生きている時も亡くなった後も同じでした。
声を聞こうとしなかったのは私だったのです。
そして、軽トラはあっという間に駅につきました。
私はその彼にお礼を言い、軽トラを降りました。
声を聞こう、今度お墓参りに行くときは声を聞こう。
